フランス原産の牧羊犬、「ベルジェ・ドーベルニュ」について紹介します。
■犬種名
フランス語で”Berger d’Auvergne”と書き、”Chien Berger d’Auvergne”などとも呼ばれます。
■起源
フランスのオーヴェルニュ地方と中央山地(マッシフ・セントラル)原産で、1970年代初頭までは地域限定の牧羊犬として使われていました。犬種として確立されていたわけではなく、見た目などはばらつきがかなりありましたが、間違いなく同じような構造や特徴を持っていました。
初めはボースロン、次いでボーダー・コリーが導入されるようになると次第に頭数が減っていきました。1990年代にはまだオーヴェルニュ地方の一部に存在しましたが、2000年代初頭になるとますます希少になり、2010年には絶滅したという人もいました。
2013年にはこの犬種の絶滅を危惧したブログ記事が書かれ、それを見たエミリー・ドラコン(現在のASCBAの幹事)らが犬種の保存を開始しました。2014年11月17日、ASCBAが設立されました。しかし、見つかった12頭の犬はほとんどが老犬でした。2015年に数頭(その内2頭はとても良い構成でした)、2017~2019年にさらに7頭のオスが加わりました。また、2017、2018年に農場で飼われ、牧羊犬であった4頭のメスが加わり、犬質の良い子犬を生みました。まだ完全に絶滅を免れたとは言い難いですが、現在では約350頭が登録されており、2022年に生まれた子犬は48頭でした。
■特徴
素朴なルポイドタイプの中~大型犬で、犬種標準によると、体高はオス48~56センチ、メス46~54センチで体重の記載はありませんでした。他のサイトによると11.8~29.9キロとばらつきがあります。(このサイトの記載によると体高は30.5~58.4センチなので、通常スタンダード外のサイズも含まれていると考えられます。)
エネルギッシュで賢く多才です。独断的だが友好的で、一部の個体は控えめです。
耳は通常半立ち耳で、垂れ耳のこともあります。尾は通常サーベル尾などの長い尾ですが、短尾や無尾も認められており、これは生まれつきの特徴です。
毛色はブラック、フォーブ(淡黄褐色)、ブリンドル、ブルーマール、フォーブマール、ブラック&タン、セーブルなど様々で、ソリッドのことも白斑が入ることもあります。また、約半数の個体がマール遺伝子を持つと言われます。毛質はショートコートが多いですが、ミディアムコートやバーべと呼ばれるひげのあるコートの個体も稀に存在します。
■登録
JKC 非公認
FCI 非公認
■まとめ
フランス原産の牧羊犬、「ベルジェ・ドーベルニュ」について紹介しました。ボーダー・コリーなどにも似ていますが、素朴な見た目でイタリアやスペインの牧羊犬により似ていると感じます。保存団体もあり、まだ頭数は少ないですが、この犬種の未来は明るいと言えそうです。