オーストラリア原産のコンパニオンドッグ、「オーストラリアン・コバー・ドッグ」について紹介します。
◼️犬種名
英語で”Australian Cobberdog”と書き、”Cobber”とも呼ばれます。”Cobber”とは、オーストラリアのスラングで「相棒」「親友」などと言った意味です。
◼️起源
プードルとラブラドール・レトリーバーを交配することによってアレルギーフレンドリーな盲導犬を生み出そうとウォーリー・コンロンによって作られた「ラブラドゥードル」は、人気に便乗し、金儲けを優先させたブリーダーの乱繁殖によってセラピードッグや補助犬になれる気質やアレルギーフレンドリーな被毛、健全性が失われた犬が増えました。そのため、ラブラドゥードルの本来の目的である、セラピードッグや補助犬になれる犬を作るために、メロディー・ウーリー(ティーガン犬舎)とその母ビバリー・マナーズ(ラトランド犬舎)らが数十年に渡って少なくとも22犬種を交配して、失われた特徴や健全性を取り戻そうと繁殖され、「ラブラドゥードル」とは異なる名前をつけました。2004年にアイリッシュ・ソフトコーテッド・ウィートン・テリアがラインに加えられました。
一般的に、プードルとラブラドール・レトリーバーを交配した犬種を「ラブラドゥードル」、プードル、ラブラドール・レトリーバー、アイリッシュ・ウォーター・スパニエル、アメリカン・コッカー・スパニエル、イングリッシュ・コッカー・スパニエル、カーリーコーテッド・レトリーバーを交配した多世代に渡って交配した犬種を「オーストラリアン・ラブラドゥードル」、健全性と気質を考慮したラブラドゥードルを交配した、MDBAに登録されているブリーダーのみが繁殖できる犬種を「オーストラリアン・コバー・ドッグ」と呼びます。オーストラリアン・ラブラドゥードルとオーストラリアン・コバー・ドッグは似ていますが、オーストラリアン・ラブラドゥードルにおいてはアイリッシュ・ソフトコーテッド・ウィートン・テリアを交配することは認められていないという違いがあります。オーストラリアン・コバー・ドッグと言う名前になったのは、乱繁殖により悪いイメージがついてしまった「ラブラドゥードル」と言う言葉を敢えて入れないことによって、犬種の確立を目指す目的があるからです。
また、オーストラリアン・コバー・ドッグの目的の一つに、気質などの予測ができるようにすることがあります。従来のラブラドゥードルなどは、世代を経ていないためか、気質などにばらつきがあるため、犬種の特性の統一を図っています。
2012年にMDBAに登録され、独自の犬種標準を持ち、MDBAに登録されたブリーダーしか繁殖できないようになっています。
◼️特徴
サイズは情報源によって異なりますが三種類あり、小さい方から、「ミニチュア」「ミディアム」「スタンダード」です。
ミニチュア:体高33~42センチ
ミディアム:体高42~51センチ
スタンダード:体高51~61センチ
場合によっては「エクストララージ」と言う大きさがあることもありますまた、「ミニチュア」「スモールミディアム」「ミディアム」「スタンダード」の四種類に分かれていることもあり、上記とは体高や体重の分類が異なります。
(エクストララージ:体高61~68センチ)
サイズによる気質の違いはないとされます。
人懐っこく見知らぬ人にも友好的で、共感力に優れています。一方で、様々な環境に適応でき、一人で楽しみを見つけることができるので留守番も苦手ではありません。好奇心旺盛で賢くトリックなどを覚えるのも得意です。ドッグスポーツなどを楽しみたい人にも向きます。
耳は垂れており、尾はふさふさしたサーベル尾で中くらいの長さです。
毛色は様々で、ブラック、ブラウン、レッド、ゴールド、クリーム、ホワイト、シルバー、ブルー、セーブル、ライラック、パーチメント、カフェオレ、キャラメル、ファントム、パーティーカラーなどです。G遺伝子による退色が起こる犬もいます。毛質は文献によって様々ですが、繁殖に使用するのに推奨されるのはカーリーフリースとウェービーフリースの二種類です。一つの巻き毛の遺伝子と一つの直状毛の遺伝子を持ったカーリーフリースはよりカールがきついです。二つの直状毛の遺伝子を持ったウェービーフリースはゆるいウェービーコートですが、長くなるとストレートに近くなります。(直状毛と言ってもうねりのないストレートではありません。)どちらも毛が抜けにくくアレルギーフレンドリーです。一対の巻き毛の遺伝子を持つウールコートやスパイラルウールコート(一対の巻き毛の遺伝子を持つか、一つの巻き毛の遺伝子と一つの直状毛の遺伝子を持ち、ウールコートとカーリーフリースの中間のコート。)もありますが、繁殖ラインからははずすべきとされます。ウールコートは子犬の頃はふわふわとして柔らかいですが、密度が高く、成長すると縮れ、大人になると光沢がなくなるためです。絹のような手触りで、トリミングや毛の手入れは必要ですが、濡れても乾きやすく、臭いも少ないです。
◼️登録
JKC 非公認
FCI 非公認
MDBA 公認
◼️まとめ
オーストラリア原産のコンパニオンドッグ、「オーストラリアン・コバー・ドッグ」について紹介しました。日本でもオーストラリアン・ラブラドゥードルが人気になってきていますが、また別の名前と繁殖プログラムが生まれているのですね。日本にも輸入されているようなので、今後ますます飼育頭数が増える可能性もありますね。