フランス原産の鳥猟犬、「サン・テュシュジュ・スパニエル」について紹介します。
◼️犬種名
英語で”Saint-Usuge Spaniel”と書き、”Épagneul de Saint-Usuge”とも呼ばれます。この犬種がポインティング競技会で一位になったとき、審査員が飼い主にこの犬種が何かを訪ね、「サン・テュシュジュ村原産のスパニエルです。」と答えたことから、この名前になりました。
◼️起源
フランス東部のブレス地方原産で、その歴史は16世紀にまで遡れると言われます。第二次世界大戦によって絶滅の危機に瀕しました。第二次世界大戦後にブレス地方のソーヌ・エ・ロワールの司祭、ロバート・ビラールが熱心な猟師であり、地元の犬種で狩りをしたいと思ったため、サン・テュシュジュ・スパニエルを探し、近くの町ルーアンで開催された1936年のドッグショー(9頭の犬が出陳された)における記録が最後となっていることを知りました。しかし、「プペット」という名の雌犬を見つけ、品種を復活させることにしました。1950年に、1936年のドッグショーでベスト・イン・ショーを受賞した犬「ブラコ」の息子、「ディック」を見つけ、1962年にサン・テュシュジュ・スパニエルに似ていた、スモール・ミュンスターレンダーの雌犬、「ビアンカ・フォン・デア・ルマーブルグ」を交配しました。その後33年間で250匹以上のサン・テュシュジュ・スパニエルが誕生し、1980年には地元の活動家、M.セルジュ・ベイ氏に引き継がれました。1990年に犬種クラブが設立され、2003年にはSociété Centrale Canineに登録されました。現在ではフランス以外にドイツ、カナダ、アメリカ、スイス、オーストリアなどでも飼育されています。
■特徴
体高は約40~53センチで、体重は約15~22キロの中型犬です。イングリッシュ・コッカー・スパニエルよりは大きく、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルと同等かそれより小さいくらいです。胸や肩が特に筋肉質で持久力があります。
水鳥とヤマシギを狩るのが得意で、様々な地形での狩猟に適しています。
従順で愛情深く、訓練しやすく子供にも優しいです。
鼻の先端に届くほど長いフリンジのある垂れ耳とカーブした長い尾を持っています。断尾は基本的にされません。
毛色はブラウンローンが多く、白斑を持つ犬が多いですが、生まれたときは白斑が分かりやすいですが、成長するにつれて差し毛が多くなり、白斑が目立たなくなります。また、額に「スター」と呼ばれる、成長とともに消えることもある小さな白斑が子犬の時には存在します。毛質は絹のようなしなやかなセミロングのコートです。
■登録
JKC 非公認
FCI 非公認
SCC 公認
■まとめ
フランス原産の鳥猟犬、「サン・テュシュジュ・スパニエル」について紹介しました。スパニエル犬種の中でもかなり珍しく、日本で見ることはほぼないと言えそうです。しかし、一度は絶滅しかけたとはいえ、犬種クラブも存在し、SCCにも公認されているのでいずれもっと頭数が増えればFCIなどにも登録されるかもしれませんね。