レトリーバーの種類


レトリーバーの中で、日本で圧倒的に有名なのはラブラドール・レトリーバーとゴールデン・レトリーバーですが、他にも公認、非公認ともに多くの種類のレトリーバーが存在します。それらについて紹介します。

出典:Wikimedia Commons File:Female Nova Scotia Duck Tolling Retriever.jpg
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Female_Nova_Scotia_Duck_Tolling_Retriever.jpg

■ラブラドール・レトリーバー

出典:Wikimedia Commons File:Chocolate Labrador Retriever.jpg
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サイズ:大型犬

原産国:イギリス(カナダ)

JKC公認

世界で最も多く飼育されている犬種と言われ、日本でもゴールデン・レトリーバーとともに知名度の高いレトリーバーです。

ニューファンドランド沿岸で漁師の手伝いをしていた犬が祖先と言われ、ラブラドール・レトリーバー自体はそれほど古い犬種ではなく、単犬種クラブは1916年に設置されました。

元は鳥猟犬ですが、気立てがよく、賢くて訓練性能が良いので、盲導犬や介助犬などの身体障害者補助犬、警察犬、麻薬探知犬などとしても使われます。ただし、生後2歳になるまではやんちゃでいたずら好きであることも知られています。

「オッター・テイル」も呼ばれる太い尾が特徴的です。JKC公認毛色はイエロー、ブラック、チョコレートの3種類で、毛質はストレートの短毛です。

■ゴールデン・レトリーバー

出典:Wikimedia Commons File:Golden retriever stehfoto.jpg
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サイズ:大型犬

原産国:イギリス

JKC公認

世界的にも有名で、日本でもラブラドール・レトリーバーと並ぶ人気があります。

1865年にトゥイードマウス卿が購入したウェービーコーテッド・レトリーバーから生まれたイエローの子犬が元になっていると考えられます。元は「イエロー・レトリーバー」とも呼ばれていました。現在では身体障害者補助犬や警察犬などとしても活躍しており、身体障害者補助犬においてはラブラドール・レトリーバーと交配することによって両方の良さを引き出そうとしている協会もあります。

賢く従順で利口である一方、優しく友好的で自信があります。ラブラドール・レトリーバーと同様、多くの場合、2歳まではやんちゃです。また、イギリス系、アメリカ系という違いによって体格などの見た目だけでなく、性格なども多少変わる傾向にあります。

毛色はクリームとゴールドで様々な色合いがあります。一般的に、イギリス系のゴールデン・レトリーバーはクリームのような薄めの毛色が多く、日本に多いアメリカ系のゴールデン・レトリーバーはゴールドの毛色が多いです。毛質はストレートか少しウェーブがかったロングコートでかなり抜け毛は多いと言われています。

■フラットコーテッド・レトリーバー

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サイズ:大型犬

原産国:イギリス

JKC公認

ラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバーほど知名度は高くありませんが、日本でも時々出会うことができる犬種です。この犬種を知らない人にはブラックのゴールデン・レトリーバーだと思われることもあるようですが、毛色以外にもゴールデン・レトリーバーとの違いはいくつもあるようです。

1860年のバーミンガム・ショーに出場していたと言われますが、その起源ははっきりしていません。セント・ジョンズ・ウォーター・ドッグが祖先とも、小型のニューファンドランドが祖先とも言われています。1915年に正式な犬種として認められるとその人気は上がりましたが、ゴールデン・レトリーバーなどの他の犬種に押され、その人気はすぐに低下し始めました。第二次世界対戦によって頭数は激減し、絶滅寸前の状態になりましたが、1960年以降、慎重な繁殖によって頭数は回復しました。

愛情深く活発で、良いコンパニオンドッグになります。また、優れた嗅覚を持ち、飼い主を喜ばせたいという欲求が強いため、海外では麻薬探知犬などとしても使われます。イギリスの盲導犬協会の繁殖プログラムではフラットコーテッド・レトリーバーをラブラドール・レトリーバーと交配させるものがあります。ラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバーと同様、若い犬はやんちゃですが、フラットコーテッド・レトリーバーの場合は成熟が遅いために、3~5歳くらいまでは子犬のような性格をしています。そのため、レトリーバー種の「ピーター・パン」と呼ばれたこともあります。

ゴールデン・レトリーバーと似ている部分もありますが、フラットコーテッド・レトリーバーはよりストップが明確でなく、より細身です。

毛色はブラックまたはレバーで、まれにイエローの個体も存在しますが、公認はされていません。毛質はストレートでロングヘアードです。

似た体格の他の犬種に比べて股関節形成不全や膝蓋骨脱臼の割合が低い一方、癌の発症率がとても高いです。しかし、一般に丈夫だと言われています。

■ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバー

出典:Wikimedia Commons File:Nova Scotia duck tolling retriever volwassen teef.jpg
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サイズ:中型犬

原産国:カナダ

JKC公認

少し前までは数年に一度JKCに登録されるくらいの珍しさでしたが、ここ最近では毎年二桁登録があるほど、JKC登録頭数が増えてきている犬種です。JKC公認のレトリーバーの中では唯一の中型犬で、固定されたのも比較的最近の犬種です。主に「トーラー」の愛称で親しまれています。

デコイ猟と言う特殊な猟をしていた犬種で、猟師の投げた枝を追いかけたり跳び跳ねたり滑稽な仕草をすることでカモの気を引き、猟師が撃ったカモを回収すると言う働きをします。

他のレトリーバーより身体は小さいですが、均整が取れていて力強いです。また、穏和で明るく、理解力があり、訓練も入れやすいです。

毛色はレッドまたはオレンジの様々な色調で、他のレトリーバーと違い、ブレーズ、胸元、脚先、尾の先に小さい白斑があることが多いですが、クオリティの高い犬は白斑がないことは欠陥とは見なされません。また、ブラックポイントの色がフレッシュ・カラーまたはブラックであり、チョコレート(レバー)の因子を持つ個体も多いことが分かります。毛質はストレートのミディアムコートです。また、尾には豊富な飾り毛があります。

■チェサピーク・ベイ・レトリーバー

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サイズ:大型犬

原産国:アメリカ

JKC公認

JKC公認のレトリーバーの中では日本においてかなり珍しい方です。ブリーダーも存在しますが、日本で見かけることはほぼないと言えるでしょう。

アメリカで作出された、唯一のレトリーバー(JKC公認)で、ニューファンドランドから連れてこられた犬が祖先になり、チェサピーク湾で水鳥を捕まえたり、漁師の手伝いをしていたりしたと言われますが、沿革は不明です。1878年に第1号がAKCに登録されました。また、犬種固定の際に、カーリーコーテッド・レトリーバーとフラットコーテッド・レトリーバーが使用されたと言われています。1992年にアメリカからやって来た日本の介助犬第1号であるブルースはチェサピーク・ベイ・レトリーバーでした。

楽しいときに前歯を出して「微笑む」犬もいるそうです。明るく愛情深く知的だと言われますが、頑固で訓練が難しいと言われることもあります。

毛色はブラウン、デッドグラス、セッジなどの茶色で、毛質は顔と脚以外の部分がカールした短毛です。毛はオイリーで、少し麝香臭がすると言われます。

■カーリーコーテッド・レトリーバー

出典:Wikimedia Commons File:Curly Coated Retriever.jpg
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サイズ:大型犬

原産国:イギリス

JKC公認

JKC公認のレトリーバーの中ではチェサピーク・ベイ・レトリーバーと並んで日本国内ではとても珍しい犬種です。

現存するレトリーバーの中では最も歴史が古く、1860年にはフラットコーテッド・レトリーバーの祖先となるウェービーコーテッド・レトリーバーとともに公認されました。イングリッシュ・ウォーター・スパニエルとセント・ジョンズ・ウォーター・ドッグを掛け合わせた犬が祖先と言われ、巻き毛をきつくするためにプードルが交配されました。アイリッシュ・ウォーター・スパニエルも交配されたと言う説も存在します。

カーリーコーテッド・レトリーバーは、レトリーバーの中で最も体高が高い犬種でもあります。筋肉質でバランスが取れた体つきです。

賢く状況判断がよく、家族に忠実で愛情深いですが、独立した犬種で見知らぬ人にはよそよそしいことがあります。繰り返しの訓練に飽きることもあり、訓練が難しい場合もあるといわれます。

毛色はブラックまたはレバーです。毛質は名前の通り、水を弾くきつめのカーリーコートで短毛です。毛がカールしている部分は顔と脚以外です。耳はカールがゆるいことがあります。また、アンダーコートがありません。

■マレーリバー・カーリーコーテッド・レトリーバー

出典:Wikipedia File:Murray River Curly Coated Retriever.jpg
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サイズ:中~大型犬

原産国:オーストラリア

JKC非公認

ANKC公認

オーストラリア原産の唯一のガンドッグです。「マレーリバー・レトリーバー」「マレーリバー・カーリーヘアード・レトリーバー」などとも呼ばれます。JKCやFCIからは公認されておらず、日本にもほぼいないと考えられます。カーリーコーテッド・レトリーバーより小さいですが、少し似ています。しかし、遺伝的なつながりがあるわけではありません。また、マレーリバー・カーリーコーテッド・レトリーバーの方がカールがゆるく、長めです。

1800年代にオーストラリア南東部のマレー川周辺で作出され、猟犬として使われていました。現在でも猟犬として使われている犬がほとんどで、一部コンパニオンとして飼われています。

優しく落ち着きがあり、しつけやすいです。

毛色は様々な色調のブラウンまたはそれに白斑のあるもので、毛先が金色がかっていることがあります。毛質は、耳や尾などがミディアムの長さのカーリーコートです。

■まとめ

JKC公認のレトリーバー6種類と非公認のレトリーバー1種類について紹介しました。名前は知っていても実際に見たことはないと言う犬種が多いのではないでしょうか。水が好きで泳ぎが上手なこと、賢く良い猟犬にも家庭犬にもなることがレトリーバーに共通する特徴ですが、一見似ている犬種でも異なる特徴があります。日本でも親しまれているレトリーバーですが、これからも世界中でも愛されるといいですね。