ラブラドール・レトリーバーの毛色の種類


日本でも世界でも人気の大型犬、ラブラドール・レトリーバー。毛色の種類は少ないですが、それぞれ性格や寿命にも差があると言われている興味深い犬種でもあります。今回はラブラドール・レトリーバーの毛色の種類を写真付きで紹介します。

■JKCの規定

イエローは明るいクリーム色からフォックス・レッドまであり、レバー/チョコレートの範囲は明るいものから暗いものまである。胸にあるホワイトの小斑は許容される。

https://www.jkc.or.jp/archives/world_dogs/2006

■人気毛色(日本)

日本で最も人気の毛色はイエローで、ブラック、チョコレートと続きます。ダドリーはチョコレートの因子を持つためチョコレートとあまり変わらないくらいの珍しさだと思います。非公認毛色を日本で見かけることはほとんどありません。ラブラドール・レトリーバー自体人気のある犬種で、公認毛色が大きく分けて3色なので、最も珍しいチョコレートでも街中で出会うことは出来ます。イエローの中ではフォックスレッドは珍しいです。

■毛色紹介

【公認毛色】

・イエロー

出典:Wikimedia Commons File:Yellow Labrador Retriever 2.jpg
https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:Yellow_Labrador_Retriever_2.jpg#mw-jump-to-license

フォックスレッドのラブラドール・レトリーバー
出典:Wikimedia Commons File:Harmony the Fox-Red Labrador.jpg
https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:Harmony_the_Fox-Red_Labrador.jpg

日本で最も人気のある毛色です。イエローの色味は個体によってさまざまで、ホワイトに近いクリームからフォックスレッドまであります。ウィンターノーズ(スノーノーズ)になりやすい毛色としても有名で、ブラック因子を持っていても成犬になると鼻の色がピンクに変わる場合もあります。(健康上の問題はありません。)夜でも見やすく見た目が優しい印象のため、盲導犬として活躍するラブラドール・レトリーバーの毛色もイエローが多いです。

・ブラック

出典:Wikimedia Commons File:Perfect Side View Of Black Labrador North East England.JPG
https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:Perfect_Side_View_Of_Black_Labrador_North_East_England.JPG#mw-jump-to-license

日本では2番目に多い毛色です。海外では最も一般的な毛色だと言われています。艶々と光沢があり美しい毛色です。

・チョコレート

出典:Wikimedia Commons File:Labrador Retriever chocolate Hershey sit.jpg
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日本でも海外でも最も珍しい毛色です。その名の通り濃い茶色で同じチョコレート色でも個体差があります。目の色がブラック因子を持つ個体に比べるとイエローやオレンジなど明るい色になることがあります。

・ダドリー

目の色がイエローでブラックポイントがチョコレート〜ピンク色なのが分かる。
出典:Wikimedia Commons File:Yellow Lab.JPG
https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:Yellow_Lab.JPG#mw-jump-to-license

JKCの規定からはドッグショーなどでどのような扱いになるのかは不明ですが、日本にも存在する毛色です。血統書上も見た目もイエローですがチョコレート因子を持つため目の色が明るくなったりブラックポイントがチョコレート色であったりします。そのため通常のイエローとは印象もかなり違います。ブラックポイントの色が薄いことに良いイメージがない人も多いかもしれませんが、それだけで健康上の問題があるわけではありません。

【非公認毛色】

・シャンパン

毛色が少し淡く目やブラックポイントの色が明るいです。

日本でも海外でも珍しい毛色です。イエローですが、希釈遺伝子を持っています。(ddeeでブラックかチョコレートかは区別されない。)毛色は多少淡くなります。知名度があまり高くないのはチャコールやシルバーのラブラドール・レトリーバーを繁殖する犬舎ではシャンパンの子犬も同じように生まれるかもしれませんが、ダドリーと区別しにくく、チャコールやシルバーと比べても希釈前の毛色との変化が少なくあまり話題になっていないためかもしれません。また、希釈色のラブラドール・レトリーバーを繁殖する犬舎は主に海外にあり、海外ではイエローよりブラックの方が一般的なのでシャンパンの子犬は珍しいのかもしれません。AKCにはイエローとして登録されます。

・チャコール

出典:Wikimedia Commons File:Silver Labrador Retriever Cooper.jpg
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Silver_Labrador_Retriever_Cooper.jpg

日本ではほとんど見かけない毛色です。最近は海外で人気の毛色です。ブラックが希釈された毛色(B-dd)で元々ブリーダーの間では「スモーキーブラック」と呼ばれていた銀色の毛色です。淡色被毛脱毛症(CDA)になる可能性があると言われています。AKCにはブラックとして登録されます。

・シルバー(グレーゴースト)

出典:Wikimedia Commons File:Willow The Silver Lab.jpg
https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:Willow_The_Silver_Lab.jpg

日本ではほとんど見かけない毛色ですが、インターネット上の記事などで取り上げられ知名度はあります。非公認毛色ですが、最近主に海外で人気になってきている毛色です。チョコレートが希釈された毛色(bbdd)でワイマラナーの毛色に近い色で、光沢があります。ワイマラナーの毛色をグレーゴーストと呼ぶためか、日本ではラブラドール・レトリーバーのシルバーのことをグレーゴーストとも呼びますが、海外の記事などではシルバーと呼ばれることが多いようです。他犬種でいう「シルバー(B-dd)」はラブラドール・レトリーバーでいう「チャコール」を表します。淡色被毛脱毛症になる可能性があると言われています。AKCにはチョコレートとして登録されます。

■ワイマラナーとラブラドール・レトリーバーの希釈色

ワイマラナー

ラブラドール・レトリーバーにワイマラナーが交配されて希釈色の毛色が導入されたのではないかという意見があります。真偽の程は不明ですが、「私が考える」それぞれの説の根拠を紹介します。

【ワイマラナーを交配した説】

・ワイマラナーは希釈遺伝子をホモに持つ。(他犬種に希釈遺伝子を導入するのに手っ取り早い)

・ワイマラナーとラブラドール・レトリーバーは比較的見た目が似ている。(大型犬、短毛、垂れ耳など)

・他犬種(ダックスフンドなど)でも他の犬種との交配によって新たな毛色や毛質を導入している。(できている)

・ラブラドール・レトリーバーにおいてCDAが多いのは毛色を固定した際の近親交配や乱繁殖によるものである。

【ワイマラナーを交配していない説】

・海外においてラブラドール・レトリーバーの非公認毛色(ブラック&タンなど)が生まれることは少なくない。

・元々猟犬なのでフィールドタイプなどは特に希釈遺伝子が淘汰されなかった可能性がある。

・希釈遺伝子は劣性遺伝子である。(元々ラブラドール・レトリーバーにあったとしても排除しにくい)

・ワイマラナーは様々な点でラブラドール・レトリーバーと似ているが、数代の交配では毛色以外のワイマラナーの性質を排除できるわけではない。

・ワイマラナーで淡色被毛脱毛症(CDA)は一般的ではないが、シルバーやチャコールのラブラドール・レトリーバーにおいては比較的多く発生する。

・シルバーやチャコールやシャンパンという名前がつけられる前からそれらにはスモーキーブラックなどの通称があった。

現在のシルバーのラブラドール・レトリーバーと呼ばれる犬は少なくとも1代限りのワイマラナー×ラブラドール・レトリーバーのミックスではないでしょうし、専門家でない人が見た目だけで見分けることはなかなか出来ないと思います。私の考えでは、特にCDAの特徴から、ラブラドール・レトリーバーの希釈色はワイマラナーが交配されて出来た毛色ではないと思います。しかし、ラブラドール・レトリーバーは人気犬種なのでシルバーやチャコールのラブラドール・レトリーバーの人気に乗じてワイマラナーを交配に使用して珍しい毛色のラブラドール・レトリーバーを販売しているブリーダーも少なからずいるのではないかとも思います。

■性格の違い

毛色によって性格が変わると言われている犬種はいくつかあります。ラブラドール・レトリーバーもその一つです。ブラックとチョコレートは活発でやんちゃ、イエローは穏やかで落ち着いていると言われることが多いです。外国では、イエローは補助犬、ブラックは猟犬、チョコレートはショードッグを連想させる、と言われています。しかし、ラブラドール・レトリーバーの毛色と性格の関係に関する科学的根拠は見つけられませんでした。ラブラドール・レトリーバーは違う毛色同士の交配も普通に行われていますので、これらの違いが毛色の遺伝子そのものの影響なのか、系統の違いによるものかは分かりません。ですが、日本に限れば、盲導犬に多いイエローは穏やかな子が多いのかもしれません。ちなみにイエローはブラックなどと比べて暗闇でも目立ちやすいなど盲導犬に向く別の理由があります。そのため、イエローのラブラドール・レトリーバーが穏やかだから盲導犬に選ばれるのか、盲導犬に選ばれやすいから穏やかな犬が多くなったのかは分かりません。

■寿命の違い

ラブラドール・レトリーバーは毛色によって寿命が違うことも有名です。チョコレートのラブラドール・レトリーバーの寿命が短いことは研究でも証明されています。ラブラドール・レトリーバー全体の年齢の中央値が約12歳なのに対し、チョコレートのラブラドール・レトリーバーの年齢の中央値は10.7歳と短いです。

Why chocolate labs may have shorter lifespans than other retrievers (nationalgeographic.com)

ラブラドールレトリバーのチョコカラーは短命?寿命は? | 犬の幸せ.com (inu-shiawase.com)

しかし、この研究にも書かれているように、チョコレートは劣性遺伝子なのでチョコレートを意図的に繁殖しようとして近親交配をするブリーダーがいることが原因ではないかと言われています。ラブラドール・レトリーバーは特に外国では人気犬種ですので、倫理的でない繁殖をしているブリーダーも少なくないでしょう。また、チョコレートのラブラドール・レトリーバーはホット・スポットという皮膚の病気にかかりやすいと言われています。この病気自体は致死的ではありませんが、寿命に関係していないとは言い切れません。

■まとめ

様々な毛色のラブラドール・レトリーバーを紹介しました。日本では公認毛色は全て見ることが出来ますが、非公認毛色はまだほとんどいないので知らなかった人も多いかもしれません。毛色によって性格が違うと言われているのも面白いですね。

■参考文献

http://dogtraining.or.jp/blog/%E7%9B%B2%E5%B0%8E%E7%8A%AC%E3%81%AE%E8%A8%93%E7%B7%B4%E3%81%A8%E9%81%A9%E6%AD%A3/

https://www.ellendalelabradors.com/SilverLabExplanation.html

何れも2023/9/15参照

【犬種】ラブラドールレトリバーとは?性格の特徴と飼い方やしつけのコツ | ドッグナビ (petraku.net)

ラブラドール・レトリーバーってこんな犬種③ラブラドール・レトリーバーの性格 | ラブを飼うならカクゴしろ! (lab-azu-diary.com)

Does the Color of a Labrador Affect its Temperament? (labradorbuddy.com)

何れも2024/8/5参照


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