フランス原産の愛玩犬、「シャン・プルーリクロー・ア・ポイル・フリーズ」について紹介します。
■犬種名
フランス語で”Chien Pluricolore à poil frise”と書き、”Caniche bicolore””chien Particolore”Chien Particolore à poil frisé””Cppf”などとも呼ばれます。”frisé”とは「縮れた、カールした」という意味で、その巻き毛を表しています。同じく巻き毛のフランス原産の愛玩犬、「ビション・フリーゼ」も”Bichon frisé”と書きます。
■起源
フランス原産の犬種、プードルから派生した犬種です。歴史的に多くの絵画などにはパーティカラーのプードルが描かれていました。1900年以前、プードルのにはパーティカラーが多かったのですが、ソリッドカラーが好んで繁殖されたためにパーティカラーのプードルは減りました。実際、FCIやJKCのスタンダードでもソリッドカラーのみが公認されていましたが、2024/8/1から新しいスタンダードになり、FCI、JKC共にパーティカラー、ファントム(登録名はフォーン・マーキング)、ブリンドルが認められました。FCIのグループ11(非公認犬種)に属していましたが、スタンダード改正とともにプードルに統合されたようです。日本でも、シャン・プルーリクロー・ア・ポイル・フリーズとして繁殖されているかは不明ですが、パーティカラーのプードルを見かけることが増えています。
■特徴
通常のソリッドカラーのプードルと同様に4種類のサイズがあり、毛質はカーリー(またはコーデッド)で抜けにくくなっているため、アレルギーフレンドリーです。その代わり、プードルと同じく、定期的なトリミングによって手入れをしなければなりません。また、プードルと形態は似ているものの、プードルよりも頭部の彫りが浅い(輪郭がはっきりしていない)と言われています。
愛情深く社交的で知的な性格ですが、プードルよりも繊細で優しいと言われています。また、陽気で活発で運動能力も高いです。プードルや他の犬種でも言われることがあるように、トイやミニチュアといった小さいサイズの個体は大きいサイズの個体より吠えやすいと言われています。
プードルから派生した犬種であるためか、プードルと祖先を共有している犬種であるためか、進行性網膜萎縮症(PRA)やフォン・ヴィレブランド病タイプ1(vWD1)、プードル新生児脳症といった、プードルにおいて多く見られる遺伝病がみられることがあります。また、様々な犬種において発症することのある変性性脊髄症の遺伝子を持っていることもあります。
毛色は”Pluricolore”=「多色」または”Particolor”=「雑色の、まだらの」という犬種名の通り、ホワイトの斑が入ったものが多いですが、タンポイントの入った毛色やブリンドルなど、一般的な「パーティカラー」以外の毛色の犬もいます。
パーティカラーには、ブラック&ホワイト、ブルー/グレー&ホワイト、フォーン&ホワイト、レッド&ホワイト、チョコレート&ホワイトなどで、ティッキングと呼ばれる細かい有色の斑がホワイトの部分に現れることがあります。
タンポイントの入ったカラーには、ブラック&タン、ブラウン&タン、トライカラー(パーティカラーでもあります)などがあります。ブラック&タン、ブラウン&タンはプードルにおいて「ファントム」と呼ばれる毛色です。
パーティカラーほど白斑の面積が大きくない「タキシード」と呼ばれるパターンや、ブリンドル、ブリンドル&ホワイトなどもあります。
■登録
FCI 非公認
JKC 非公認
■まとめ
フランス原産の愛玩犬、「シャン・プルーリクロー・ア・ポイル・フリーズ」について紹介しました。
特に日本では現在は専らソリッドカラーのプードルが大多数を占めていますが、元はパーティカラーのプードルが多く、ソリッドカラーのプードルが選択されたために今日のプードルのカラーになったというのは驚きですね。
最近ではソリッドカラーでないプードルを日本で見かける機会が増えています。必ずしも「シャン・プルーリクロー・ア・ポイル・フリーズ」として登録されているわけではないと思われます。プードルのスタンダードが改正されてソリッドカラー以外が公認されましたが、プードルとは毛色以外に身体や性格など、異なる部分もありますし、AKCではドッグショーに出られないなど全ての団体で認められたわけではないので、「シャン・プルーリクロー・ア・ポイル・フリーズ」が完全にプードルに統合されるのか、それとも独自の特徴を残した派生種として確立されるのかは分かりません。
※この記事に使用している写真はパーティカラーのプードルであり、「シャン・プルーリクロー・ア・ポイル・フリーズ」として登録されているとは限りません。
(参考)2024/7/11参照