オーストラリア原産の牧羊犬、「オーストラリアン・クーリー」について紹介します。
■犬種名
英語で”Australian Koolie”と書き、単に”Koolie”とも呼ばれます。”German Koolie”と呼ばれることもありますが。また、読み方は「コリー」ではなく「クーリー」です。オーストラリア人の労働者を「クーリー」と呼んだことに由来するとも、「コリー」のドイツ語の発音が「クーリー」に近かったことに由来するとも言われています。”Collie”と混同されるのを防ぐため、2000年に犬種クラブでは”Koolie”のスペルが採用されました。
■起源
起源ははっきりしていませんが、オーストラリアン・キャトル・ドッグやオーストラリアン・ケルピーと同様、1800年代にヨーロッパからオーストラリアに持ち込まれた犬が祖先と言われています。
南オーストラリアでは、ドイツ人の入植者によって効率が良く仕事を素早く行う犬が好まれ、敏捷性があり、細身で、攻撃的でなく静かな犬が選択的に飼育されました。
オーストラリアン・ケルピーと関連があるとDNA調査で分かりました。現在でも多くのブリーダーはオーストラリアン・ケルピーとボーダー・コリーを交配しており、これはレジストリにも受け入れられています。また、オーストラリアン・シェパードはオーストラリアン・クーリーの子孫であるという意見もあり、実際に遺伝的なつながりもありましたが、ケルピーとクーリーのつながりほど強くはありませんでした。
能力に基づいて繁殖されてきたため、犬種標準は決められておらず、主要なケネルクラブにも公認されていません。これは犬種クラブやブリーダーが、見た目にこだわって繁殖することは犬種の能力を低下させることにつながり、また遺伝子プールを狭くすることは遺伝性疾患を引き起こすなどの問題があると考えているからです。
■特徴
ボーダー・コリーや小さめのオーストラリアン・ケルピーと同じくらいのサイズの中型犬で、体高は40~60センチ程度だと言われています。半野生の牛の誘導に使われる犬は骨太であったり、高地で働く犬は柔らかいアンダーコートを持つ粗い毛をしていたりするなど、仕事や地域によって体型は様々です。そのため、大きすぎるサイズが不適切ということは通常ありません。
神経質でも攻撃的でもありませんが、大胆で知的で飼い主に忠実です。牧羊犬として重要な、スタミナ、スピード、敏捷性、柔軟性があり、運動量は多いです、
耳は立ち耳、半立ち耳、垂れ耳の全てがありますが、立ち耳が一般的です。尾はバランスを取ることができ、回転にも耐えられるように、飛節近くまで届くことが望まれ、先が上向きにカールした垂れ尾が多いです。ショートコートの個体でさえも少し飾り毛があったりふさふさとした尾を持つことがあります。
毛色はブラック、レッド(チョコレート)、ブルーマール、レッドマールなど様々で、タンポイントやホワイトが入る場合もあります。飼い主から見やすい色が望まれます。基本的にはオーストラリアン・シェパードの毛色のバリエーションと似ていますが、ホワイトの斑がより大きかったり小さかったりするなどばらつきは大きいです。ホワイトの面積が小さく、毛色は濃いことが好まれます。ホワイトの面積が多いとマールを見落とす可能性があり、希釈された毛色(おそらくブルーやイザベラ)は脱毛症を引き起こすことがあるためです。毛質はショートコートが多く、ミディアムコートやまれにボーダー・コリーのようなロングコートも存在します。
特にマールの犬にバイアイやブルーアイ、パーティアイが存在することがあります。
■登録
JKC 非公認
FCI 非公認
主要なケネルクラブには公認されていませんが、様々なクラブに登録されています。スタンダードはありません。
■まとめ
オーストラリア原産の牧羊犬、「オーストラリアン・クーリー」について紹介しました。日本ではあまり知られていませんが、原産国などでは有名な犬種です。他の牧羊犬とよく似ていますが、現在でもケルピーとボーダー・コリーが交配されることがあるのは驚きですね。