プードルには多彩な毛色があり、たくさんの名前があります。プログレッシブ・グレイングはG遺伝子の変異によって起こります。プードルにはユーメラニン発現の毛色とフェオメラニン発現の毛色がありますが、プログレッシブ・グレイングは主にユーメラニン発現の毛色に作用します。プログレッシブ・グレイングによってさらに種類が増えている、プードルのユーメラニン発現の毛色について紹介します。
■プードルのユーメラニン発現の毛色(改正前の区分)
プードルのユーメラニン発現の毛色(ファントム、パーティカラー、ブリンドル、セーブルなどを除く単色)の種類とその遺伝子を紹介します。
JKCとFCIの改正後の分類はフェオメラニン発現の毛色と混ざっているなど遺伝的な説明が難しく、改正前の分類でも一部説明しづらい毛色があるため主にAKCの分類と国内、国外問わずよく使われる遺伝的な分類に準じた毛色で説明します。
・ブラック(成犬になっても退色せず、黒のままです)
遺伝子型:B/-, g/g
・ブルー(成犬になるにつれて少し退色し、青みがかった黒になる)
遺伝子型:B/-, G/g
・シルバー(成犬になるにつれて退色し、灰色になります)
遺伝子型:B/-, G/G
・ブラウン(成犬になっても退色せず、こげ茶色のままです)
遺伝子型:b/b, g/g
・カフェ・オ・レ(成犬になるにつれて少し退色し、薄めのこげ茶色になります)
遺伝子型:b/b, G/g
・シルバー・ベージュ(成犬になるにつれて退色し、薄い茶色になります)
遺伝子型:b/b, G/G
このようにG遺伝子は不完全優性であるため、本来ならばブラックとブラウンの2種類だけだった毛色が6種類にまで増えています。しかし、子犬の頃はブラックやブラウンで退色は時間をかけて進むため、マズルの毛を剃って毛色を判別するなどの方法はあるものの、中間的な退色の色合いを持つブルーやカフェ・オ・レなどは見極めにくいです。また、退色のある毛色は場所によって毛色が異なる場合も多く、成犬になっても遺伝子検査なしで遺伝子を予想することは難しいと言えます。さらに、プードルは年を取ってからも退色することがあるので、退色が起こらないことを確認することができるのはシニア犬になってからという場合もあります。
AKC公認の毛色にグレーがあります。これもブラックが退色したものですが、ブルーの色味がないシルバーよりも濃い毛色のようです。遺伝子がどのようになっているかは分かりませんが、退色した毛色は明確な基準がないためその中間的な色合いを表現するために作られた毛色の分類だと思われます。また、JKCの改正前の毛色にグレーの他にシルバー・グレーがあります。グレーとシルバーの中間の毛色のようですが、こちらも明確な基準はなく、遺伝子も不明です。これらの毛色は退色の過程でシルバーの毛色の犬が通る色合いであると考えられます。
■まとめ
プードルの毛色はとてもたくさんの種類があり、判別が難しい場合もあります。JKCではプードルの毛色の登録名を変え、2026年から現在とは異なる区分にするそうですが、遺伝子を鑑みた上での分類とは言えず、余計に混乱を招くことも予想されます。プードルを飼う場合には退色もひとつの楽しみであると考え、子犬の時とは全く違う毛色になる可能性も考慮しておくと良いでしょう。