ハストレアドール・ブラジレイロ


ブラジル原産の猟犬、「ハストレアドール・ブラジレイロ」について紹介します。

出典:Wikimedia Commons File:Rastreadora Brasileira Gaya.jpg
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Rastreadora_Brasileira_Gaya.jpg

■犬種名

ポルトガル語で”Rastreador-brasileiro”と書き、英語では”Brazilian Tracker”と呼ばれます。また、”Urrador Americano”などとも呼ばれます。

■起源

ブラジルの人々は狩猟の際にセントハウンドを必要としていましたが、他国から輸入された猟犬はブラジルの気候には向きませんでした。そのため、1950年代にリオデジャネイロに住んでいたガウチョ・オズワルド・アラーニャ・フィーリョは、アメリカン・フォックスハウンドを主としたツリーイング・ウォーカー・クーン・ハウンド、ブルーティック・クーンハウンド、イングリッシュ・クーンハウンド、ブラック・アンド・タン・クーンハウンド、スモール・ガスコーニュ・ブルーなどの様々な猟犬種とパンパス・ディアハウンドを掛け合わせ、高い狩猟の能力を持ち、ブラジルの気候に適応できる犬種が作出されました。1967年9月1日にFCIに公認されました。

フィーリョの犬はダニが媒介する犬ピロプラズマ症にかかっていたためダニの駆除が試みられましたが、駆除剤の中毒によって39頭が死に、その子孫は雑種化が進んでいたため、FCIの公認を取り消されました。

2000年代初頭にCBKC(Confederação Brasileira de Cinofilia)の協力を得てブラジルのブリーダーたちは残っている犬を集め、犬種の再興を目指しました。2019年に再びFCIに公認され、現在では主にブラジル北中部で飼育されています。

■特徴

バランスが取れており、体高はオス60~65センチ、メス56~63センチ、体重はオス26~33キロ、メス21~30キロ の大型犬です。

ジャガーや野生のブタの狩猟に使われる、ブラジルの暑い気候と荒れた地形でも狩猟ができる犬種です。一頭でもペアやトリオでもパックでも狩りを行います。

強くて素朴です。陽気で活発ですが、攻撃的ではなく、従順です。

低い位置についていて引っ張ったときに難なく鼻先に届く(鼻の長さは超えない)先端が丸い大きな垂れ耳と警戒しているときと動いているとき背中の方に上がる細長い尾を持ちます。

毛色はトライカラー、ブラック&タン、ブラック&ホワイト、ブラウン&ホワイトなどで、ホワイトの斑がある個体はブルーティック・クーンハウンドなどのようなティッキングがあることがあります。毛質は密度が高く硬いショートコートです。

■登録

JKC 非公認

FCI 公認(グループ6、犬種番号275)

■まとめ

ブラジル原産の猟犬、「ハストレアドール・ブラジレイロ」について紹介しました。日本語版Wikipediaには「ブラジリアン・トラッカー」という名前で記事が書かれているため、こちらの呼び方で知っている人も多いかもしれません。絶滅したと思われていることもあり、FCIに再登録されたということはあまり有名ではないのかもしれません。元のハストレアドール・ブラジレイロの血がどれだけ入っているかは不明ですが、これからさらに頭数が増えていくとよいですね。