白地に黒の斑点でおなじみのダルメシアン。101匹わんちゃんに登場する犬種として知っている人も多いと思います。そんなダルメシアンですが、実は白地に黒以外の毛色があることはご存じでしたか?さらにはダルメシアンの顔の模様について興味深い研究もあります。今回はダルメシアンの毛色の種類について写真付きで紹介し、顔の模様とダルメシアンに多い難聴の関係、尿酸を分解できる遺伝子を持つダルメシアンについても紹介します。
■JKCの規定
JKCにおいて認められている毛色は2種類です。いずれも白地にスポットと呼ばれる特徴的な斑を持ちます。
地色はピュア・ホワイトで、ブラック・スポット・バラエティーはブラックのスポット、レバー・スポット・バラエティーはブラウンのスポットがある。ブラックとブラウンが混合されてはならず、丸く、非常に明瞭で、出来るだけまんべんなく分布していること。直径は2-3㎝である。頭部や尾、四肢のスポットはボディのスポットより小さい。
ダルメシアン | 一般社団法人 ジャパンケネルクラブ (jkc.or.jp)
■人気毛色
日本では圧倒的にホワイト&ブラック(白地に黒の斑)が多いです。海外ではホワイト&レバーも少なくないですがホワイト&ブラックと比べるとかなり少ないでしょう。また、非公認ですが、ホワイト&レモン(白地にレモンの斑)やトライカラー(斑がブラックとタンまたはレバーとタン)も存在します。海外においてはあえてこれらの毛色のダルメシアンを繁殖しているブリーダーもいます。
■毛色紹介
ダルメシアンは白地にスポットのある毛色ですが、生まれたばかりの頃は真っ白で、成長とともにスポットが濃くなっていきます。また、スポットではなく、大きな有色の斑があることがありますが、それは生まれた時からあります。ダルメシアンのスポットは全身にまんべんなく散らばっていますが、尾にはスポットがなかったり、少なかったりします。
【公認毛色】
・ホワイト&ブラック

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:BIR_Grupp-_6_DALMATINER,_Mellanm%C3%B6llan_Honey_Pie_(24234227655).jpg
日本でも海外でも一般的な、白地にブラックのスポットを持つ毛色です。101匹わんちゃんにも登場する犬の毛色で、ダルメシアンと言えばこの毛色、というイメージがあります。ブラックの斑の位置や面積は個体差が大きく、それによって印象も大きく異なります。
・ホワイト&レバー

公認毛色ですが日本ではほとんど出会いない、比較的珍しい毛色です。白地にレバー(焦げ茶色)の斑がある毛色です。ブラックポイントがレバーで、目の色もホワイト&ブラックの場合より薄く、明るい色(アンバーやイエロー)が多いイメージです。
【非公認毛色】
日本で見かけることはほとんどありませんが、海外では比較的多く存在する毛色です。
・ホワイト&オレンジ
白地にオレンジ(茶色)の斑がある毛色です。ブラックポイントはブラックのこともレバーのこともあります。
・ホワイト&レモン

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Lemon_Dalmatian.JPG
白地にレモン(薄い茶色)の斑がある毛色です。ブラックポイントはブラックのこともレバーのこともあります。
・ホワイト&ブラック タン
白地にブラックとタンの斑がある毛色で、通常(クラシック)のブラック&タンであるはずの部分に斑が入ります。
写真は下のリンクをご覧ください。
・ホワイト&レバー タン
白地にレバーとタンの斑がある毛色で、通常(クラシック)のレバー&タンであるはずの部分に斑が入ります。
写真は下のリンクをご覧ください。
・ホワイト&ブルー
白地にブルーの斑がある毛色です。ユーメラニン希釈遺伝子によるものなので、理論上はホワイト&ライラック(ホワイト&レバーを希釈)、ホワイト&ブルー タン、ホワイト&ライラック タンなども存在しますが限りなく少ないと思います。
写真は下のリンクを参照してください。
・長毛
毛色ではありませんが長毛のダルメシアンも海外では存在するようです。長毛と言ってもセミロングで耳や尾の毛が少し長いという程度ですが、その毛色からも少しイングリッシュ・セターに似た雰囲気を感じますね。
【その他】
とても珍しく、著作権の関係で使用可能な写真がないですが、海外のサイトでは他に珍しい毛色や模様のダルメシアンが紹介されています。実際この毛色の個体がどの程度存在するのかは不明ですが、ここでもいくつか紹介します。英語ですが、写真はリンク先をご覧ください。
このページでは、ダルメシアンに見られる毛並みや色のバリエーションについてご紹介します。 (paisleydals.com)
・モザイク
ホワイト&ブラックやホワイト&レバーのダルメシアンが、ごく少数のみ異なる色の斑を持つ毛色です。例えば、ホワイト&ブラックにレバーやレモンの斑、またはホワイト&レバーにレモンの斑などです。これはタンポイントの遺伝子によるものではありません。モザイクのダルメシアンはその斑の色の遺伝子を隠し持つ(ヘテロ接合)と言われていますが、詳しい遺伝子は不明です。スポットのない犬種ではこのようなことを見聞きしたことがないことと、斑の途中に境目があるのではなくちょうど1つの斑のみが異なる色になるため、スポットの遺伝子が何か関係しているのではないか、と私は思っています。
・2-トーン
“two-tone”と発音します。レバーの遺伝子を持つホワイト&レモンの毛色においてレバーとレモンの両方が混ざったような斑がある毛色です。遺伝子は不明です。
・スポットなし(ホワイト)
スポットのない真っ白のダルメシアンも存在します。アルビノのこともありますが、おそらく多くはティッキング作る遺伝子のないもの(白斑遺伝子によるホワイト)だと考えられます。また、限りなく近いスポットを持つホワイト&レモンと見分けにくいこともあります。
■ダルメシアンの顔の模様と難聴の関係
ダルメシアン生まれたばかりのときは真っ白であることからも分かるように、過度な白斑の原因となるエクストリームホワイト(swsw)というS遺伝子座の遺伝子を持ち、ダルメシアンに限らずこの遺伝子が先天性の難聴と関連していると言われています。白斑遺伝子と難聴が関連しているのは、メラニンを産生するメラノサイトが内耳の働きにも関わっているからだと言われます。しかし、すべてのダルメシアンが難聴であると言うわけではありません。ダルメシアンの難聴の割合は15~30%と言われ、さらに両側性、片側性ともに存在します。
ダルメシアンの難聴については様々な研究が行われています。新旧多くの研究とデータがあり、内容、規模も異なりますが、青い目と難聴は正の相関、頭部のパッチ(生まれた時から有色)と難聴は負の相関があるという結果が出ています。


■ダルメシアンと尿酸
ダルメシアンはスポットと呼ばれる有色の斑が特徴です。白地に有色の斑を持つ犬種は他にもありますし、遺伝的にも似ているのですが、ダルメシアンの大きめの綺麗な丸い斑は他の犬種ではあまり見られません。ダルメシアンは全犬種の中で唯一尿酸を分解できない犬種と言われていますが、実は尿酸を分解するための遺伝子がダルメシアンの斑を作り出す遺伝子と関連していることが分かっています。そこで、ダルメシアンと比較的似ていて尿酸を分解する遺伝子を持つ、イングリッシュ・ポインターをダルメシアンに交配するという取り組みが行われました。イングリッシュ・ポインターも面積の大きい白斑遺伝子とティッキング遺伝子(ダルメシアンも持っていると言われる、白い毛の部分に有色の小斑を作り出す遺伝子)を持っていますが、やはりスポットが小さくなったり、身体やマズルが細くなったりするため賛否両論がありましたが、何代も繁殖を重ねることによって尿酸を分解できる遺伝子をホモ接合に持つダルメシアンも多く誕生し、見た目もかなり元のダルメシアンに近づいています。日本ではまだほとんど知られていないと思いますが、海外では一般のブリーダーの手にも渡っています。この、尿酸を分解できる遺伝子を持つことを”LUA”と言い、尿酸を分解できる遺伝子を持たないことを”HUA”と言います。
■まとめ
ダルメシアンの毛色の種類について紹介しました。ホワイト&ブラック以外のダルメシアンを見たことがある人は少ないのではないでしょうか。ダルメシアン自体があまり多くないですし、実際に日本で珍しい毛色のダルメシアンを見かけることはなかなかないかもしれません。また、LUAダルメシアンのことは日本ではあまり知られていないのではないでしょうか。ダルメシアンの特徴をしっかりと保存したまま、より健康な犬が生まれているのは良いことですね。
(参考文献)2024/12/17参照
LUA Backcross Project — ArmySoldier Dalmatians
This page explores the coat and color variations seen in Dalmatians.