フィリピン原産のプリミティブドッグ、「アソン・グバット」について紹介します。
■犬種名
「アソン・グバット」はタガログ語に由来し、”Aso Ng Gubat”と書きます。また、”Tiger dog””Philippine Forest Dog””Philippine Witch Dog”などとも呼ばれます。”Tiger Dog” はそのブリンドルの毛色に由来します。
■起源
3万年以上前からフィリピンに存在していたと言われる犬種です。フィリピン南部のミンダナオ島のブキドノンのみに存在します。
フィリピンをスペインが植民地化する前から先住民であるアエタ族などとともに暮らし、狩猟犬、害獣駆除犬などの役割を担ってきました。
一部は飼いならされていますが、限られた地域にしか存在しない希少な野生の犬であるため、フィリピンでは神話と考える人も多く、「森の精霊」と言われて畏怖されているそうです。先住民族の一つのルマド族には、「アソン・グバットを傷つけると呪われ、アソン・グバットを殺すと家族全員が呪われる。」という言い伝えがあります。
フィリピンのケネルクラブによると、「アソン・グバット」は、フィリピンの雑種犬として知られる「アスカル」とは違い、純血種でありFCIへの登録を目指しています。
フィリピン・フォレスト・ドッグ・レガシー・クラブが存在し、ブリーダーを登録しています。
■特徴
見た目はストリートドッグのようですが、原産地のジャングルなどの厳しい環境を生き抜くための固有の特徴を持ちます。
体高は約45~55センチ、体重は約15~23キロの中型犬です。身体は細身ですが、筋肉質で引き締まっており、活発で運動能力が高いです。適応力が高いため、森に取り残されても生きていく力があると言われています。
野生の環境で生きられる犬であるため、独立心があり、狩猟欲が強いです。家族には忠実でよい番犬にもなります。
毛色は様々な色調のブリンドル、ブラックなどで、小さな白斑があることもあります。ブリンドルはタイガーブリンドルや、黒い縞のとても少ないものも存在します。毛質はショート~ミディアムのダブルコートで、密集しており厳しい環境に適応できます。
耳は立ち耳が多いですが垂れ耳も存在し、尾は細長い巻き尾か垂れ尾です。
唇や口の中が黒かったり、舌斑があることがあります。また、通常犬の爪は削れることによって入れ替わりますが、アソン・グバットの爪は剥がれることによって入れ替わります。
■登録
JKC 非公認
FCI 非公認
■まとめ
フィリピン原産のプリミティブドッグ、「アソン・グバット」について紹介しました。見た目はアスカルや他の国のストリートドッグに似ていますが、固有の特徴を持ち、神話まであるというのは興味深い犬種ですね。
参考(2024/10/31参照)
Philippine forest dog – Wikipedia